
「家を買うのって、手続きに半年くらいかかるんですよね?」
不動産屋に初めてご来店されたお客様からよく聞かれる質問です。確かに、注文住宅を一から建てるなら1年近くかかりますが、すでに完成している「建売住宅」や「中古物件」の場合は全く違います。
結論から言います。 ポータルサイト(スーモやアットホームなど)で物件に問い合わせをしてから、実際に鍵をもらって引っ越すまで、おおよそ【約1ヶ月】です。
「えっ!? 数千万円の買い物なのに、そんなに早いの!?」と驚かれますよね。 このあまりのスピード感に、途中でパニックになってしまうお客様も少なくありません。
今回は、家を買う時の「怒涛の1ヶ月」がどのような流れで進むのか。そしてその間、私たち不動産仲介業者が裏でどれだけ泥臭く走り回っているのかを、業界の裏側として包み隠さずお話しします。
お客様の表舞台:引越しまでの「怒涛の9ステップ」

まずは、お客様自身が進めていく「表舞台」のスケジュールを見てみましょう。完成済みの建売住宅を住宅ローンで購入する場合、以下のような流れで一気に進みます。
- 物件への問い合わせ(ネットや電話でアプローチ)
- 物件見学 & 事前審査(見学と同時に、いくら借りられるか銀行の仮審査へ)
- 申し込み(「この家を買います!」という意思表示。※事前審査の承認が必須!)
- 売買契約(申し込みから約1週間後。手付金を払い、正式に契約を結ぶ)
- 住宅ローンの正式審査(本審査。契約書を持って銀行へ本申し込み)
- 住宅ローン契約(金消契約。銀行とお金を借りる正式な契約を結ぶ)
- 現地説明会・立会い(傷や汚れがないか、建物の最終チェック)
- 融資実行 & 鍵の引き渡し(銀行からお金が振り込まれ、ついに鍵を受け取る)
- お引越し(新生活スタート!)
いかがでしょうか。これだけのステップを、たった1ヶ月〜1ヶ月半の間で一気に駆け抜けます。お客様にとっては、毎週末のように不動産屋や銀行に足を運ぶことになり、「気づいたら家を買っていた…」という感覚になるほど濃密な期間です。
不動産屋の裏舞台:水面下で足をバタバタさせる白鳥たち

さて、ここからが本題です。 お客様がこの怒涛のスケジュールをスムーズに進めている間、私たち不動産仲介業者は何をしているのでしょうか?
「物件を案内して、契約書を読むだけでしょ?」と思われるかもしれませんが、とんでもありません!お客様が安全に、安心して鍵を受け取れるよう、裏では数え切れないほどの手配と調査、交渉を並行して行っています。
契約からお引き渡しまでの1ヶ月間、担当営業マンが水面下で行っている業務の一部がこちらです。
- 物件ご案内 & 事前審査の対応(お客様に合った銀行の選定と書類準備)
- 【超重要】申込が受理されるための必死の交渉(一番手を勝ち取るための売主への根回しや、価格交渉の打診)
- 役所調査 & 現地調査(その物件に法律的な問題はないか、道路の権利はどうなっているか、役所を回って徹底的に調べ上げる)
- 重要事項説明書 & 契約書類の作成(何十ページにも及ぶ書類を、ミスのないように作成)
- 契約後の正式審査(本審査)の段取り
- 建物表題登記の依頼(土地家屋調査士と連携し、新しい家の「戸籍」を作る手配)
- 所有権移転の依頼(司法書士へ登記費用の見積もり依頼と手配)
- 火災保険のプラン相談と手配
- 決済日(引き渡し日)のスケジュール調整(売主、買主、銀行、司法書士の全員の予定を合わせる至難の業)
- 各費用が確定した後の、住宅ローン契約の段取り
- 現地立会いの段取り & オプション工事(網戸やカーテンレール等)の見積もり手配
- 引越し業者 & ライフライン(水道・電気・ガス)の手続き案内
いかがでしょうか。文字にすると目が回りそうですよね。 私たちはこれを、「他のお客様の案内や契約業務、さらには集客業務」と並行しながら、絶対にミスが許されない緊張感の中でこなしています。
水面上では優雅に涼しい顔をしてお客様をエスコートしていますが、水面下では足をものすごい勢いでバタバタさせている白鳥。それが、不動産仲介業者のリアルな姿なのです。
なぜ仲介業者はここまで裏で走り回るのか?

なぜ私たちがこれほどまでに裏で走り回るのか。 それは、「家を売ること」が私たちの仕事なのではなく、「お客様を安全に新居へお連れし、その後の暮らしを守ること」が私たちの本当の仕事だからです。
例えば「役所調査」。 万が一、私たちが調査を怠り、購入後に「実はこの土地、将来道路で削られる予定でした」「配管が他人の土地を通っていました」なんてことが発覚したら、お客様の人生を狂わせてしまいます。だからこそ、私たちが防波堤となり、徹底的にリスクを排除しているのです。
また、「関係各所(銀行・司法書士・売主)との調整」もプロの腕の見せ所です。 お客様が本業のお仕事をしながら、これらすべての専門家と連絡を取り合い、スケジュールを調整するのは物理的に不可能です。私たちがハブ(中心)となって全てを段取りすることで、お客様は「言われた日に、指定された書類を持ってきていただくだけ」で、スムーズに取引が完了するようになっているのです。
※ちなみに、世の中には「仲介手数料無料!」を謳う業者もいますが、その裏でどうやって利益を出しているのか(これらの膨大な手間をどうやって省いているのか)については、また別の記事でじっくりお話ししたいと思います……(笑)。
まとめ:スピード勝負だからこそ「事前審査」が命運を分ける

完成済みの物件購入は、想像以上のスピードで進んでいきます。 「いい物件があったら、その時に考えればいいや」と悠長に構えていると、この怒涛のスケジュールには絶対に追いつけません。
特に、ステップの初期にある「事前審査」。 [※以前の記事:事前審査を渋る人が運命の物件を逃す残酷な理由(内部リンク)]でもお話ししましたが、この1ヶ月の短距離走において、事前審査の承認を持っていない人はスタートラインにすら立たせてもらえません。
私たちが裏で必死に交渉し、一番手を勝ち取るためにも、お客様自身の「資金計画の準備」が絶対に不可欠なのです。
「1ヶ月で引っ越せる」ということは、逆に言えば、準備さえしっかりしておけば、今抱えている住まいの不満(狭い、家賃がもったいない等)を、たった1ヶ月で解決できるということでもあります。
私たち不動産屋は、お客様がいつでも走り出せるよう、水面下で完璧な準備を整えてお待ちしています。マイホーム探しのスタートダッシュを切りたい方は、ぜひお気軽に頼ってくださいね。