ジメジメとした梅雨が明け、いよいよ夏本番。楽しいレジャーやガーデニングを満喫したいけれど、悩ましいのがプーンと耳元にやってくる「蚊」の存在です。一度刺されると、なかなか消えないかゆみに悩まされたり、小さなお子さんやペットがいるご家庭では、強い成分の虫除けスプレーを使うのに抵抗があったりするのではないでしょうか。
「虫除けスプレーや蚊取り線香を使っても、なかなか蚊がいなくならない…」そんな悩みを抱えている方もいるかもしれません。実は、私たちの身近な植物の中には、蚊を寄せ付けない不思議な力を持つものがたくさんあるんです。
今回は、庭やベランダで手軽に育てられる、蚊を寄せ付けないおすすめの植物を7種類ご紹介します。それぞれの植物が持つ蚊除けの理由や、より効果的な使い方まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にして、今年の夏は植物の力を借りたナチュラルな蚊対策を始めてみませんか?
この記事のポイント
- 庭やベランダで育てやすい、蚊除け効果のある植物7種類とその特徴
- なぜ植物の香りで蚊を遠ざけることができるのか、その科学的な理由
- 蚊の習性や活動時間、刺されやすい人の特徴といった基本的な知識
- 蚊除け植物の効果を最大限に引き出すための、育て方や置き方のコツ
- 育てたハーブで作る、肌に優しい自家製虫除けスプレーやポプリの作り方
- 植物の力と合わせて行いたい、蚊の発生源を断つための具体的な対策

蚊ってどんな虫?特徴と習性を知ろう
効果的な対策を立てるためには、まず蚊がどのような虫なのか、その特徴と習性を知ることが大切です。
蚊が好む場所や時間帯
蚊は、じめじめとした湿気の多い場所を好みます。庭の隅の水たまり、植木鉢の受け皿に溜まった水、雨上がりの側溝などは、蚊の幼虫であるボウフラの発生源になりやすい場所です。また、風通しの悪い場所や、草木が茂った日陰なども、蚊が潜みやすいので注意が必要です。
蚊が活発に活動する時間帯は、一般的に薄暗くなる夕方から夜にかけて、そして朝方です。特に夕暮れ時は、人間の体温や呼吸によって発生する二酸化炭素を感知しやすいため、吸血活動が活発になります。
蚊に刺される原因
蚊は、私たちが出す二酸化炭素、体温、そして汗に含まれる成分に反応して近寄ってきます。特に汗に含まれる乳酸やアンモニアなどの物質は、蚊を強く引き寄せる要因の一つと言われています。そのため、運動後や入浴後など、体温が高く汗をかいているときは、蚊に刺されやすくなる傾向があります。
刺されたときのリスク(かゆみ・感染症)
蚊に刺されると、皮膚に注入された唾液に含まれる成分によって、かゆみや腫れといった炎症反応が起こります。掻きすぎると皮膚を傷つけ、細菌感染を引き起こす可能性もあります。
また、地域によっては、蚊が媒介する感染症(デング熱、ジカウイルス感染症、日本脳炎など)のリスクも存在します。蚊に刺されないための対策は、これらの感染症予防の観点からも非常に重要です。
蚊の対策は「寄せ付けない」がカギ
蚊対策というと、蚊取り線香や殺虫スプレーなど、蚊を「駆除する」方法を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、より効果的で持続可能な対策としては、蚊を「寄せ付けない」ようにすることが重要です。
駆除よりも予防が重要な理由
蚊が発生してから駆除するよりも、発生を未然に防ぐ、あるいは蚊が寄り付かない環境を作ることが、根本的な解決につながります。また、自然の植物を利用した対策は、小さなお子さんやペットがいるご家庭でも安心して取り入れやすいというメリットがあります。
自然素材の方が人体やペットにもやさしい
化学合成された殺虫剤に抵抗がある方にとって、植物由来の成分や香りを利用した虫除けは、より安心できる選択肢となります。もちろん、植物アレルギーを持つ場合は注意が必要ですが、一般的には人体やペットへの負担が少ないと考えられています。
虫除けグッズとの併用も効果的
蚊を寄せ付けない植物を植えるだけでなく、網戸の設置や虫除けスプレーの併用など、複数の対策を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。特に蚊の多い場所や時間帯には、これらの対策を組み合わせるのがおすすめです。

蚊を寄せ付けない植物とは?
蚊を寄せ付けない植物には、共通する特徴があります。それは、蚊が嫌う特定の香り成分を含んでいることです。
香りで蚊を遠ざける仕組み
これらの植物が持つ独特の香りは、蚊の嗅覚を混乱させたり、蚊が嫌がる成分を含んでいたりするため、蚊を寄せ付けない効果を発揮します。まるで天然の虫除けバリアのように、蚊の侵入を防いでくれるのです。
蚊の嗅覚を混乱させる「精油成分」
蚊が嫌う香り成分の代表的なものとしては、「精油成分」が挙げられます。これは、植物の葉や茎、花などに含まれる揮発性の有機化合物のことで、種類によってさまざまな香りを持っています。
蚊除け効果のある精油成分としては、以下のようなものが知られています。
- シトロネラール: レモングラス、ゼラニウム(蚊連草)などに含まれ、蚊が最も嫌う香り成分の一つと言われています。
- リモネン: シトラス系の植物に含まれ、爽やかな香りが蚊を遠ざけます。
- メントール: ミントに含まれる清涼感のある香りは、蚊の感覚を麻痺させる効果があると言われています。
- ラバンジュロール、リナロール: ラベンダーに含まれるこれらの成分は、リラックス効果だけでなく、蚊除け効果も期待できます。
これらの精油成分は、植物が放出するだけでなく、葉をこすったり、乾燥させたりすることでより強く香るようになります。
おすすめの蚊除け植物7選
それでは、庭やベランダで手軽に育てられ、蚊を寄せ付けない効果が期待できるおすすめの植物を7種類ご紹介します。
1. レモングラス

特徴:その名の通り、強いシトラス系の香りが特徴で、蚊が嫌うシトロネラールという成分を豊富に含んでいます。
育てやすさ:日当たりの良い場所と水はけの良い土壌を好みます。比較的育てやすく、初心者にもおすすめです。
活用法:鉢植えで育てて玄関や窓際に置いたり、葉を乾燥させてポプリにしたりするのも効果的です。料理の香り付けにも利用できます。
2. ゼラニウム(蚊連草)

特徴:「蚊連草(カレンソウ)」という別名を持つほど、蚊除け効果が高いことで知られています。ピンクや赤などの可愛らしい花を咲かせ、観賞用としても人気があります。シトロネラールを含む独特の香りが蚊を遠ざけます。
育てやすさ:日当たりが良く、風通しの良い場所を好みます。過湿に弱いので、水の与えすぎには注意が必要です。
活用法:鉢植えやプランターで育て、玄関先やベランダなどに置くと効果的です。
3. ミント(ペパーミント・スペアミント)

特徴:爽快な香りが特徴のミントは、蚊だけでなく、ゴキブリなどの他の害虫も忌避する効果があると言われています。ペパーミントやスペアミントなど、様々な種類があります。
育てやすさ:丈夫で繁殖力が旺盛なため、初心者でも比較的簡単に育てられます。ただし、地植えにすると広がりすぎる場合があるので、鉢植えでの栽培がおすすめです。
活用法:葉をこすって香りを立たせたり、乾燥させてポプリにしたり、ハーブティーや料理にも利用できます。
4. ラベンダー

特徴:リラックス効果のある甘くフローラルな香りが特徴のラベンダーですが、この香りには蚊を忌避する効果も期待できます。
育てやすさ:日当たりと風通しの良い、乾燥気味の環境を好みます。梅雨時期の多湿には注意が必要です。
活用法:花を乾燥させてポプリやサシェにしたり、アロマオイルとして利用したりするのもおすすめです。庭に植えるだけでなく、切り花として室内に飾るのも良いでしょう。
5. バジル

特徴:イタリア料理などによく使われるバジルは、独特の強い香りを持っています。この香りには、蚊を忌避する効果があると言われています。
育てやすさ:日当たりが良く、水はけの良い土壌を好みます。比較的育てやすく、収穫して料理にも使えるのが魅力です。
活用法:プランターで育てて窓際や玄関に置いたり、収穫した葉を乾燥させて虫除けに利用したりできます。
6. ローズマリー

特徴:独特の清涼感のある香りが特徴のローズマリーは、蚊だけでなく、アブラムシなどの他の害虫対策にも効果があると言われています。
育てやすさ:日当たりと風通しの良い、乾燥気味の環境を好みます。比較的丈夫で育てやすいハーブです。
活用法:庭に植えたり、鉢植えで育てたりする他、乾燥させてポプリにしたり、料理の香り付けにも使えます。
7. カレンデュラ(キンセンカ)

特徴:鮮やかなオレンジ色の花が美しいカレンデュラは、マリーゴールドと同様に、根に線虫を忌避する効果があると言われています。また、花や葉に含まれる成分には、蚊などの害虫を遠ざける効果も期待できます。
育てやすさ:日当たりが良く、水はけの良い土壌を好みます。種からでも比較的簡単に育てられます。
活用法:花壇やプランターに植えて観賞用として楽しむだけでなく、花びらをハーブティーや料理に利用することもできます。
植物の効果を高める育て方と置き方
蚊除け植物の効果を最大限に引き出すためには、適切な育て方と置き場所が重要です。
蚊が嫌う場所に植える(玄関前・ベランダ・窓際)
蚊の侵入経路となりやすい玄関前、ベランダ、窓際などに蚊除け植物を置くことで、蚊の侵入を効果的に防ぐことができます。風に乗って香りが広がりやすい場所に置くのもおすすめです。
水の与えすぎ注意=蚊の発生源になる
多くの蚊除け植物は、比較的乾燥気味の環境を好みます。水の与えすぎは根腐れの原因になるだけでなく、植木鉢の受け皿などに水が溜まり、蚊の幼虫であるボウフラの発生源となる可能性があります。土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるようにしましょう。
風通しのよい環境で育てることが重要
風通しの悪い場所は、湿気がこもりやすく、蚊が好む環境になりがちです。また、植物にとっても風通しが良い方が病害虫の予防になります。できるだけ風通しの良い場所に置き、密集しすぎている場合は剪定するなどして風通しを良くしましょう。
寄せ付けない植物の活用アイデア
蚊除け植物は、ただ植えておくだけでなく、様々な方法で活用することで、より効果的に蚊対策を行うことができます。
ハーブを使った自作虫除けスプレーの作り方

摘み取ったハーブを使って、簡単に自然な虫除けスプレーを作ることができます。
材料:
- 蚊除け効果のあるフレッシュハーブ(レモングラス、ミント、ゼラニウムなど):適量
- 精製水:100ml
- (お好みで)無水エタノール:10ml(保存性を高めるため)
作り方:
- ハーブを細かく刻みます。
- 清潔なガラス瓶に刻んだハーブと精製水、無水エタノール(使用する場合)を入れます。
- 蓋をしてよく振り、1週間ほど冷暗所で保管します。
- ガーゼなどで濾して液体を取り出し、スプレーボトルに移し替えたら完成です。
使用する際は、よく振ってから肌や衣類に吹きかけます。
乾燥させてサシェやポプリに

収穫したハーブを乾燥させて、サシェやポプリにするのもおすすめです。自然な香りが優しく広がり、室内の蚊対策になります。
作り方:
- ハーブを風通しの良い日陰で十分に乾燥させます。
- 乾燥したハーブを、通気性の良い布製の袋(サシェ)に入れたり、お好みの容器(ポプリ)に入れたりします。
- 玄関や窓辺、寝室などに置きます。香りが薄くなってきたら、軽く揉むと再び香りが立ちます。
注意点とあわせて行いたい蚊対策
蚊除け植物は、蚊対策の有効な手段の一つですが、それだけに頼るのではなく、他の対策と組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
水たまりをなくす(蚊の繁殖防止)
蚊の幼虫であるボウフラは、わずかな水たまりでも発生します。庭の植木鉢の受け皿、古タイヤ、空き缶、雨水マスなど、水が溜まりやすい場所を定期的にチェックし、水を捨てるようにしましょう。
網戸やベランダの防虫対策も忘れずに
窓やドアには網戸を設置し、破れがないか定期的に確認しましょう。ベランダに蚊が侵入するのを防ぐために、防虫ネットなどを活用するのも有効です。
自然の力+物理的対策の組み合わせが最強
蚊除け植物による自然な対策と、網戸や水たまりをなくすといった物理的な対策を組み合わせることで、より効果的に蚊の被害を防ぐことができます。
まとめ
今回は、蚊を寄せ付けない7種類の植物と、その効果的な活用方法についてご紹介しました。それぞれの植物が持つ独特な香りの力で、不快な蚊を自然な方法で遠ざけることができます。
庭やベランダで植物を育てる楽しみを味わいながら、同時に蚊対策もできるというのは、まさに一石二鳥です。ぜひ今年の夏は、これらの蚊除け植物を取り入れて、快適な空間を作ってみてください。自然の恵みを感じながら、蚊のいない穏やかな夏を過ごしましょう!
